アーク溶接はなぜ感電事故が起こるのか?アーク溶接で感電が起こる仕組みの解説

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皆さんアーク溶接の作業で危ないなと思ったことはありますか?

アーク溶接の労災事故は、年間で発生は少ないものの完全にゼロにすることは出来ていません。

労災事故の中には、

  • 火傷
  • 爆発
  • 酸欠
  • 感電

など様々な要因があります。

その中のアーク溶接における感電の原理は理解できていますか?

電気を使って溶接しているのは分かるけど、実際完璧に理解している方は少ないと思います。

アーク溶接だけの知識だけでなく電気の知識も必要なんですよね。

電気の事なんか分からない!と思いの方少し待ってください。

今回は、アーク溶接で感電が起こる仕組みについて解説していきます。

アーク溶接における電気の流れ

まず、基本的な電気の流れです。

基本なのでしっかりと理解しましょう。

ニ次側(アーク溶接機→アース線まで)の説明のみしていきます。

しっかりと、アース線をつけましょう。

アーク溶接機電源ONで感電リスク

まず、アーク溶接機の電源をONにするとホルダーまで電気が流れてきます。

この状態から感電のリスクがでてきます。

電気を帯びた棒を持っているイメージとなります。

被覆棒を母材に当てるとアーク発生

電気を帯びたアーク溶接棒を母材に当てると、電気が流れます。

アーク溶接機本体→ホルダー→被覆棒→母材→アース線→アーク溶接機本体へ戻る

電気はこのように流れています。

母材に被覆棒が接するとアーク放電という現象が起きて、そこで熱が発生し被覆棒と母材を溶かしてくっつけます。

つまり、電気の流れ道が無いとアーク溶接をすることができません。

母材に錆などが付いていて、アークが出せない時がありませんか?

それは、錆によって電気の流れが邪魔されているからアークが出ないんです。

なので、サビをとってからアーク溶接をする必要があります。

アーク溶接の感電例を紹介

アーク溶接で感電するときは、人間に電気が流れる回路が出来たときです。

文字で書くのは簡単ですがさまざまなパターンがあります。

実際現場でアーク溶接の感電事故が起きているのは、意図せぬタイミングで起こるものです。

例を紹介していきます。

アースの取り付け忘れによる感電

アーク機本体→ホルダー→被覆棒→母材→人間→地面

この回路が構築されてしまいます。

すると人間に電流が流れます。

アークが発生しないからと言って、母材を触りながら溶接を行ってしまうと電気が流れてしまいます。

被覆棒が誤って人間に触れたことによる感電

アーク機本体→ホルダー→被覆棒→人間→地面

この回路が構築されてしまいます。

被覆棒は、基本絶縁されているので問題ありません。

なので、被覆棒を交換する際は通電中でも交換できます。

ですが、被覆棒の割れた部分や先端を誤って触ってしまうと、絶縁されておらず人間に電気が流れて感電してしまうんです。

作業中は、気を抜かず注意して作業することが大切です。

現場で起きたアーク溶接感電

実際とは、若干異なりますが分かりやすいように現場で起きる感電例を紹介します。

この後にこのようにして感電してしまいます。

天井と柱が接したことにより、アース線へ流れる回路が完成してしまったんですね。

その最中に人間が触れてしまったので人にも電気が流れて感電してしまいました。

この事故を防ぐには、下記の事を守れば防ぐことが出来ました。

  • アーク溶接装置の電源を落としてから作業する。
  • アース線を母材につけておく。
  • ホルダーを絶縁されている場所に置く。
  • 柱を立てる作業者は、絶縁された格好をする。

この中の1つさえ守ることが出来ていれば感電事故は、発生しませんでした。

やはり、現場では意図せぬところで事故は起きてしまうので作業者は、必ず安全を確認してから作業するようにしましょう。

意外と知らないアーク溶接の感電しない例

作業中は、絶対に母材に触れてはいけない!

と噂を聞くことがあると思います。

ですが、電気的にアーク溶接中は母材に触れても感電しません。

絵の通り全てアース線に向かって電気が流れるからです。

電気回路で言えば下記のような回路が出来上がるイメージです。

このように人間の抵抗があるところには、電気は流れませんよね?

全て0Ωに向かって流れていくんです。

アーク溶接中は、アース線がとれていれば感電はしないので覚えておきましょう。

アーク溶接の感電は自動電撃防止装置で回避

交流のアーク溶接機には、自動電撃防止装置の設置が義務付けされています。

これがないと非常に死亡リスクが上がるからです。

では、自動電撃装置がどのようなものか説明します。

通常溶接をしておらず電源を入れた時は、20Vとなっています。

被覆棒と母材が触れた瞬間に0.06秒でアークを発生させる80Vまで一気に引き上がります。

その後、40Vまで落ち母材が溶けて溶接されます。

母材から被覆棒を外して溶接を止めると再び1秒ほど80Vまで上がりその後20Vへ下がります。

この一連の動作をする装置を自動電撃防止装置と言います。

簡単に言うと

  1. 溶接していないときは、20Vにしておく。
  2. 溶接を始める時だけ80Vにする。
  3. 溶接が始まったら40Vにする。
  4. 溶接が終わったらまた20Vに戻す。

溶接しないときは、低い電圧にしておくことで仮に感電しても人間のダメージを少なくしよう!

と言う目的の装置です。

これがなければ、常にホルダーに80Vの電圧がかかったままとなり、誤って触れると一瞬で流れて最悪の場合死に至ります。

下記リンクに自動電撃防止装置の詳細を書いたものがあるので参考にしてみてください。

【図解付き】自動電撃防止装置とは?動作について徹底解説! (anything-heart.com)

アーク溶接感電に関するまとめ

アーク溶接の感電に関する知識を得ることは出来ましたか?

現場では、意図せぬタイミングで電気が流れてしまう可能性は多々あります。

  • アース線を母材に取り付け回路を作る。
  • 自動電撃防止装置を付ける。
  • 作業するときは、絶縁保護具をつける。

以下のことをしっかりと守って安全にアーク溶接の作業を行ってください。

アーク溶接の教育訓練を受けてアーク溶接が出来るようになりたい方は、下記記事をご覧ください。

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