アーク溶接でくっついて溶接が出来ない!理由とその対処方法を解説

資格のススメ

最近アーク溶接を始めてみたけどくっついて溶接できない!

溶接棒が母材と離れなくなってしまうことが多い・・・

なんてことはありませんか?

実際にアーク溶接の経験がある人でもくっついてしまうことは多々あります。

アーク溶接でくっつく理由や対策方法を覚えて少しでも溶接の知識向上に役立てていただければ幸いです。

今回は、

・アーク溶接でくっつく理由が知りたい方

・アーク溶接でくっつかないようにする方法を知りたい方

・アーク溶接でくっついた際の対処方法を知りたい方

この3点について解説をしていきます。

アーク溶接でくっつく理由

アーク溶接がくっつく理由として3つ挙げます。

(他にも原因となる理由はありますがここでは良くくっつく理由とされるものを紹介します)

アークスタートが上手くいかなかった

最初のアークを出すことを

アークスタート

と言います。

アークスタートを上手く出来なかったことによるくっつきはよく発生します。

アーク溶接の基本ですが、母材と溶接棒の間にアークが発生します。

アーク部分が高温となり母材と溶接棒が溶け出します。

母材と溶接棒が溶け合い固まった箇所が溶接された場所となります。

よく、母材と溶接棒を接した瞬間に「ビー」と音が鳴りアークがでないことはありませんか?

これは上手くアークが発生せず、母材と溶接棒が中途半端な温度となってしまいます。

つまりアークスタートに失敗したことになります。

すると母材と溶接棒も中途半端に溶けてくっついてしまうのです。

その後は、溶接機の安全装置が働くので1度溶接棒を母材から離さないとアークは発生しません。

アーク溶接の電流値が適正でない

最初のアークが発生したところまでは良いが溶接中にくっつき溶接が中断されることはありませんか?

これは、アーク溶接の設定電流値が低い可能性があります。

アーク溶接は、アーク発生後電流を流しながら溶接をします。

その電流値が高ければ高温となり低ければ低温となります。

電流値が多ければ高温になるのでくっつくことはありません。

しかし仕上がりが汚くなったり母材を溶かしすぎて穴が空く可能性があります。

逆に電流値が低すぎれば低温となってしまいます。

溶接中に低温となると母材が溶け切らず溶接不良を起こしたり溶接棒とのくっつきの原因につながります。

アーク溶接棒の状態が悪い

アーク溶接で新品の溶接棒なら上手くできるのに、再溶接を行うとくっつくことはありませんか?

これは、溶接棒の状態が悪い可能性があります。

状態といってもさまざまな原因があります。

  • 溶接棒の種類(太さ等)
  • 溶接棒先端の状態

溶接棒を太いもの使用している

溶接棒には、さまざまな太さの棒があります。

基本的にアークの出しやすさは、細ければ出しやすく太ければ出しにくいです。

もしくっついて溶接ができないようであれば、1段階溶接棒の太さを落としてみてはどうでしょうか?

溶接棒先端が芯だけになっている

本来溶接棒は、中央に心線がありその周りを被覆で覆われています。

溶接を行うと一緒に無くなっていきます。

しかし、くっついた後に溶接棒を外した反動で被覆のみが剥がれることがあります。

すると被覆がなく芯だけが残ります。

その状態でアークを発生させると被覆がないため上手くアークを出すことができません。

アーク溶接でくっつかないようにする方法

アーク溶接では、上手くアークを出せていないのでくっついてしまうのです。

上手くアークを出す方法を解説します。

溶接棒の確認する

まず、溶接棒の状態を確認してください。

  • 溶接棒の太さは、適正であるか?
  • 溶接棒の先端が芯だけになっていないか?

これらをしっかりと確認しましょう。

溶接棒線径と母材板厚及び電流の関係(下向)

溶接棒線径適正電流参考使用可能材厚
1.2mm以下薄すぎて難しい
1.4mm1.4×50-30=40A1.2mm~1.4mm
1.6mm1.6×50-30=50A1.4mm~1.6mm
2.0mm2.0×50-30=70A1.6mm~2.0mm
2.6mm2.6×50-30=100A2.2mm~2.6mm
3.2mm3.0×50-30=120A2.8mm~3.2mm
4.0mm4.0×50-30=170A3.2mm~4.0mm

https://www.bildy.jp/mag/weldingbar-basic/より引用

新品の溶接棒を使えば上手くアークを出せることが多くありませんか?

これは、溶接棒の状態が良いからアークが出せるんです。

溶接棒は太くなればなるほどアークが発生しにくくなります。

細い溶接棒であれば簡単にアークを出すことも可能です。

電流値の確認をする

電流値の数値はどうですか?

各溶接棒に適正な電流が決められています。

母材の板厚にも左右されますが、電流値が低いとアークは発生しません。

試しに電流値を下げて溶接してみてください。

確実にくっつきます。

アーク溶接電流値の適正は、アーク溶接棒のケースに表記があります。

最初は、その値を守って溶接すると良いです。

アークスタートを練習する

アークスタートを上手くするにはコツがいります。

なので慣れるまでは、練習が必要なんです。

アークスタート方法にも種類があります。

  • ブラッシング法(自動電撃防止装置使用)
  • タッピング法(自動電撃防止装置使用しない)

といった方法があります。

これらを上手くこなすことで確実にアークを出すことができます。

1度アークを発生させて母材を溶接する

この方法は、プロでも実施されている方が多いです。

簡単に言うと、母材と似た材質の廃材を準備します。

廃材でアークを発生させた後すぐに母材で溶接を行うのです。

こうすることで、アークを確実に発生させることができます。

アークを1度発生させると、溶接中は電圧が一定となります。

溶接が終了すると1秒間だけ高電圧(80V)になりその後安全電圧(25V)まで落ちる構造となっています。

廃材でアークを発生させ溶接を行いすぐに溶接を終了し1秒間の間に母材へ溶接を行うのです。

すると、高電圧のままアークが発生するわけですから簡単にアークを出すことができます。

アーク溶接でくっついた時の対処方法

アーク溶接で母材と溶接棒がくっついてしまった際には、正しい対処をしなければなりません。

誤った対処をした場合

  • 労災事故が起きる可能性がある
  • 綺麗な溶接部分を作れなくなる

などの失敗が起きてしまいます。

ここて、正しい対処方法を覚えておきましょう。

母材と溶接棒を剥がすように力強くホルダーを引っ張る。

くっついてしまった場合母材と引き離すようにして力強く溶接棒のついたホルダーを引っ張ってください。

確実に取れるわけではありませんが一番有効な方法です。

力強く引っ張る際に気をつけることが2点あります。

母材を抑えながらホルダーを引っ張る事

母材を抑えながら引っ張らないととても危険です。

母材とくっつきが強い場合、ホルダーを引っ張ると母材も一緒についてくる可能性があります。

するとその母材が高電圧状態となり他の金属部分と接触するとそこから火花を散らしてしまいます。

さらに、感電の危険性もでてくるので必ず母材を抑えながらくっつきを取るようにしましょう。

これでくっつきが剥がれた場合電流を調節するなどして再度溶接を再開しましょう。

取れないと思ったら引っ張る事を止める事

母材を抑えて引っ張ってもくっつきが取れなかった場合は、諦めて引っ張ることを辞めましょう。

時間をかけすぎると、溶接棒に電気が流れ続けるので温度が上がってきます。

(イメージとしては、電熱線のように抵抗の温度上がっていくイメージ)

最後には溶接棒が赤くなってきます。

ここまで来るととても危険です。

他にも、無理に引っ張りすぎて溶接棒側面の被覆に傷をつけたりすることもあります。

なので、くっつきが取れなかった場合は粘らず引っ張るのを辞めてください。

引っ張ることを辞めた後は、下の手順に移行してください。

ホルダーを開き溶接棒を離す

もし引っ張っても取れない場合は、母材に溶接棒がくっついたままですがホルダーを開いてください。

母材と溶接棒がくっついた状態にしてしまいましょう。

その後に、溶接棒を回して取り外しましょう。

この時に注意して欲しいのですが、溶接棒はとても熱くなっていると思います。

なので火傷には注意しながら溶接棒を取り外しましょう。

工具を使って取り外してもかまいません。

余裕があればできるだけ側面の被覆を傷つけず溶接棒を取り外してください。

アーク溶接機本体の電源を切る

溶接棒が熱くてすぐに取り外すことができない場合、アーク溶接機の電源を落として確実に溶接棒を取り外すようにしましょう。

もし電源をつけたまま溶接棒を取り外すことに夢中になっていると事故の元になります。

アーク溶接においては、電源が付いているだけで感電の可能性があるので注意してください。

アーク溶接の感電について詳しくかいてある記事がありますので参考にしてください。

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